【書評】レオポルト・モーツァルト ヴァイオリン奏法を読んで

18世紀の3大奏法

『 楽器演奏法の三大名著 』と呼ばれるうちの一冊。一つ目はエマヌエル・バッハのピアノの奏法について。二つ目はクヴァンツのフルートの奏法について。そして三つ目は今回読んだ、レオポルトのヴァイオリン奏法についてです。

きっかけはウィーンに留学している友人(2018年8月時点)から勧められたのがきっかけです。「音楽家なのだからこれを読まないといけない。声楽についても参考になるよ。」とクヴァンツのフルート奏法から三大名著を知りました。(知ってから、読もう読もうの精神で4カ月たってようやく腰を上げた次第ですが。。)

レオポルト・モーツァルトという人物について

彼はオペラ作曲家としても有名なヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのお父上です。時代的にはバッハやヘンデルとかぶっているものの彼らの方が先輩(ちょうど24歳離れています)です。

大学を中退して、20歳時点では貴族の近侍(召使のイメージ)兼音楽家。 24歳あたりから売れだし宮廷楽隊の候補者に選ばれ、徐々に功績が増え始めます。

個人的に一番わかりやすく評価できていると思ったのが

基礎がしっかりすぐれたヴィルトゥオーソ、理性的で方法のしっかりした教師、学識のある音楽家、これらひとつでも有能な人物なのであるが、本書では全ての能力が開花している。

p292 マーク・プルクの書評より

渡邊もこういう音楽家になりたいと思いました。音楽能力、指導能力、知性の3点セットが揃うことは可能であることを言っていると思います。

声楽家の興味として

数多の人が言うように18世紀を知る上でかなりいい。モーツァルトよりも前の時代の人間の言葉を現代人でもわかるように翻訳されていることが重要なのかなと思います。

個人的に感じたのは、この時代も同じ問題であふれていたのだと思います。そして、今の時代というのはレオポルトのような巨人が道を残してくれた結果でしかないだと思います。

アマゾンでこの本を購入したのだけれども、レビューが少ないと思ったのが本音。僕のレビューから興味を持ってくれたら、読んでレビューを書いてほしいです。

弦楽器に触れるということは歌を歌っていく中で、一生涯にあまり利益がないとは思いません。いつものごとく「何故なら○○だから。」とも言いたいのですがそこの答えは出ていません。ですがオペラや作品を一緒に作っていく中での礼儀というのはある程度の知識からも生まれるものかと思いました。

この本のいいところ

教則本でありながらレオポルトの思想をふんだんに文字に起こしています。ヴァイオリンの教則本としてとらえるだけではなくて、40代前後の中堅音楽家が世の下手くそな音楽家に対しての見解を随所でちょいちょい出しています。とがってます。

最初から音楽に対しての情熱を持っている人だけではなく、うまく伸び悩んでいる人。大学生とかにもおススメなのかなと思います。先生やお師匠さん方が弟子のどういった部分について悩んでいるかをカンニングできます。

値段は一見高いかもしれませんが、わけもわからず怒られるよりも先取りできるのでいい。先生方もこの本を勧めれば基礎的な規則などの指導しなくてもいい。ただ注意点が一つだけあって、言葉づかいが少し難しいところ。初学者は読みづらいのではないでしょうか。

構成

6パート構成だと推察しました。

①前書き

本のいきさつや、レオポルトの思いとか。生徒向け、よりも先生に向けて書いてる。あほな指導をするなとのお達し。

②ヴァイオリンという楽器・音楽史・楽譜の読み方(1・3章)

僕自身は大学の副科でコントラバス、趣味でエレキギターやエレキベースをしていたから弦楽器の心得を多少なりとも持っているつもりだったがこの点から学ぶことが多かった。

音楽史はやはりおもしろいよなぁ、といた所感。ノアの箱舟→エジプト→ギリシャ→ローマの順番でたどり着いて、そこから文字として形作られていった、と書いてある。

マンガ『プリニウス』がちょうどローマが最盛期の話か?若干、関連性があって面白く感じると思う。留学する前に読み切りたい。

あとは音符の読み方、楽譜の読み方を書いてある。・・・まぁ、音楽高校、音楽大学に通った人間なら当たり前のことを書いてあるんだけれども。言語化して再確認という意味ではいいのかもしれない。

③ヴァイオリンの基礎技術編(2、4~7章)

ヴァイオリンの基礎技術編。持ち方、右手、左手のルールに書いてある。これには絶対的なルールがあって、それに従えと書いてある。コントラバスの先生に泣かされながら引いたなと思ったけれども、完全に血肉にしていなかったから恥ずかしい。

しばしば『声楽にならって』という言葉が使われている。響きを均一化、これは声楽に限らずだと思うけれども自分も師匠によく言われます。

声楽には高音・中音・低音で声の切り替わる音が亜あるそれをいかにちぎれずに歌いきるかもポイントの一つだと思う。

声楽の心得が少しばかりある人なら、努力しないと均一な音が得られないことをよく知っている。

p115

④細かい装飾音符について(9~11章)

この部分について、声楽家は中々勉強になると思いました。下記引用に書いてある通りでそのままだがいい加減に練習するだけよりも言葉として覚えた方が幾分か良いと思います。ヘンデルやモーツアルトのアリアに通ずる部分を感じます。

それをよくある音符の形ではなくて名前で覚えることが幾分かマシな音楽家の一歩になるんじゃないですか。

そう、説明を聞いたところで、多くの人が混乱から救い出されるのか、少なくとも、将来にきちんと演奏できるよう、いくばくかの光が注がれるのかなど、いったい誰にわかるというのだろうか。

p238

自分たちのしていることがわからず、やみくもに演奏することほど、それはいかなる場合でも、慰みようもないほど悲しいことではないだろうか。

p238、p239

⑤レオポルトの精神(12章)

音楽家として読んでください。重要!

⑥あとがき

生涯とか、訳者の言葉とか。誰に影響を受けたかであるとかを書いています。

レオポルトモーツァルト ヴァイオリン奏法 [新訳版]

まとめ

200年以上の前の本です。時代感は200年以上前の時代感。ですので、ところどころ「ん?」ってなる箇所がちらほら見えてきます。

ページ数見ても難しく感じそうですが、個人の感情を入れている分の読みやすさがあります。

音楽史を勉強するよりもこの本読んだ方が入りやすい、とは言い切れませんが嘘じゃない音楽家の言葉です。訳者に感謝。

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