声楽家のための読譜力の上げ方について

僕は今、一般企業に勤めるサラリーマンです。組織で生きることが苦手なので、上司や先輩方から、立ち振る舞いや一般的な礼儀について耳がタコになるまで教えていただいている日常を過ごしています。

大学時代、不勉強であったこともありたくさんの曲を知っているわけではありません。知っていても音符を正確にとらえているというより、鼻歌で歌えるような感覚です。ですが、鼻歌で歌えるものを論理的に人に説明できるかと言われると難しいです。

渡邊の考え方として、人に論理的に説明できることがプロフェッショナルの1条件であると考えるため、鼻歌で歌えることは曲を知っていることではありません。(音楽を勉強している方から「そんなこと当たり前だ。」と声が上がりそうですが。)

論理的に説明する為に、楽譜から読み取る能力は非常に重要です。では、楽譜からどのような情報が読み取れるか。また、どのようなことをすれば楽譜を読むスピードが上がるかについて書きました。参考までに読んでいただけると幸いです。

1.音符名を記載する

僕は中学時代を野球や、マンガにリソースを割いてしまった音楽からかけ離れた生活を過ごしていました。高校に入学し、音楽にのめりこむも聴く専門。プレイヤーからはほど遠く、好きな音楽はロックミュージック。声楽家として活動するまでにかなりの遠回りをしました。

物事を始めることに遅くはないと考える今でもそんな事実にネガティブな感情を持ちます。ですが、やっぱり目の前の問題を一つずつ解決しなければいけないということもわかっていました。

音符は楽譜の共通言語

働き始めるとやはり時間は失われます。働くことは、肉体的な負担だけはなく、精神的な消耗もあります。そんな中で確保できる時間は、朝起きた疲れていない数時間と休日だけです。

効率的に楽譜を読解することが求められて生きます。楽譜を読む能力が低い渡邊は、曲を覚えるだけではなく楽譜の読み取る訓練もする必要がありました。

考えたのは、音を具現化するということでした。本読みが好きな自分は、幾分文字が得意です。音符という記号(絵情報)から音の情報を読み取るだけではなく、文字としても捉え多角的な理解があれば早いと考えました。

記号としてだけではなく文字情報としても捉える

人が本を読めば読むほどに、文字を読む力が上がり、文字を読むスピードが上がります。それに伴いボキャブラリーなど、文字に対する幅。予想できる選択肢が増えていきます。本を読むことと同じように音符を読む力というものもあります。

声楽家、歌を扱う人には他の楽器と違って、歌詞があります。歌詞を読んでメロディを歌っていれば、口の筋肉が歌詞を覚え、喉を音程を記憶し、それらが連結し曲を感覚的に覚えるかもしれません。

けれども歌に歌詞があるのと同様に、音楽には音符があります。先人たちが同じ共通言語として残してくれた偉大な功績の一つです。

音符は音程・リズムを言語化したものです。耳と身体で覚える感覚派はやめて、左脳も使いましょう。共通言語である音符を理解して伴奏者に言葉で説明できることは一つの武器です。

音符名をひらがなやカタカナ、日本人に慣れ親しんだ言葉をつけることによって文字と音がリンクしていきます。アルファベットでも構いませんが、アルファベットは記号情報として認識している可能性もあるため、カタカナを推奨します。もちろん、人には見せない楽譜で!

2.譜面起こしの体験/移調楽譜の作成

声楽家のほとんどの方が、移動度なのではないかと思います。長調であれば、Cdur。単調であればAmollを基本の形として、音型をとらえます。

もし時間に余裕があれば、今まで練習した曲、その中でも特に時間を使った楽曲理解度の高い曲を移調してみることをお勧めします。古典歌曲集の2、3ページしかない曲でも問題はありません。

調号と音符の関係性

自分はテノールなのですが、大学2年生の頃は今よりも高い音が全く出ませんでした。せいぜい2点Eほどで、いっぱいいっぱいに。アリアどころか人前で演奏も難しい。落ちこぼれであったと思います。

自分で歌いたい曲もなかったので、先生に曲の選出を頂いてました。そんな曲も音程が高すぎて歌えず、「曲の移調をしろ。」と宿題。曲は、ドニゼッティの『E morta』です。

7ページの曲です。ピアニストの子たちからすれば鼻で笑われるようなページ数だと思います。しかし、とてもしんどかったことを覚えています。

楽譜の解剖手術

やらされ作業だったので、どちらかと言えば嫌な思い出ですし、今考えればお金を払って外注していればよかったかもしれません。

ですが、楽譜の移調作業によって伴奏譜、調号、メロディー、スラーの位置など。言われても注意出来ていなかった箇所が色濃く見えるようになりました。この作業はやる気とエネルギーを必要とします。

この作業が終わった直後、和声の授業に対する拒否感が薄れました。必要なものはペンと五線ノートのみです。歌を歌うばかり、先生方からの指摘ばかりではなく、自ら楽譜を書く作業は譜面の読解スピードを格段に上げてくれます。

3.ピアノを弾く

一般教養としてピアノを弾くから、周りに流されてなんとなくピアノを弾くのでしょうか。それとも「我、歌を勉強する者なり。ピアノなど弾いても仕方がない。」と笑い、手をつけず半端な声楽家のまま一生を終えるのでしょうか。

ピアニストの読譜方法/楽譜を面でとらえる

声楽家にも読み方があるようにピアニストにも読み方があると考えています。それを強く感じたのは、伴奏してくれた友人ピアニストに「このぐらいの曲だからなー。」の一言でした。

彼らは20ページ近い大曲を覚え人前で弾かねばなりません。また伴奏ピアニストとしてお仕事をされている場合、一瞬で曲のパターンを読解しなければなりません。頭が上がらないです。

圧倒的に読む音符の量が違うため、譜面の見方が少し違います。メロディを追うだけではなく、面としてフレーズと伴奏を追います。まず、面でとらえて、指のパターンから打鍵します。

1日10分の作業を積み重ねる

メインの楽器ではなくても、1日10分弾き続けるだけで読譜力は周りの声楽家の子に比べて向上していきます。音楽大学で副科としてピアノをやっていた時は、周りの友達も練習し、なんとなく『やらければいけない』気持ちになっていたと思います。

初歩レベルの事を書きあつらえました。僕は初歩レベルどころかそれ以前の話だったので、社会人になってから音楽を読み解く力の向上を強く意識しました。なんで続いたかというと、会社員になって周りと比較する時間が減ったからのように思います。

基礎能力は、数学や国語と一緒で一生の財産になると思っています。教養というやつです。この記事の基礎能力の言語化がお力になれば嬉しいです。ぜひとも基礎能力への時間投資は手を抜かずに行いましょう。

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